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Innovator of the year

アメリカのアブソリュートサウンド誌にて、DS Audio代表青柳哲秋がInnovator of the yearに選ばれました。

”この10年で最も優れた革新者だとすら思う”と評価して頂きました。

全文はこちら TAS Fall 2025_Innovator of the Year_Tetsuaki Aoyagi

以下要約です

INNOVATOR OF THE YEAR(今年の革新者)

Tetsuaki Aoyagi(青柳哲秋)
Founder(創設者), DS Audio
文:Jonathan Valin


[表紙(ページ1)より]

わずか10年で、アキはフォノカートリッジのパラダイムを変えた。

1920年代にまでさかのぼる光学カートリッジのアイデアは、“新しい”とは言えない。磁石の代わりに光を使って電圧を発生させるというこの発想は、1940年代にPhilco社の「Beam of Light」トランスデューサーで実用化された。そして1970年代には、東芝がC-100P光学カートリッジでこのコンセプトを再導入した。

だが、Philcoも東芝も、小型白熱電球の発熱と寿命の短さが原因で故障しやすく、問題を抱えていた。

そこに、パソコン用光学マウスに使われていたLEDとフォトセンサーの進化が登場する。若き日本人エンジニア、青柳哲章氏は、この冷却不要・高精度・高信頼性で小型な技術を、東芝の光学カートリッジの仕組みに応用できるのではないかと考えた。結果、熱や配線の摩耗の問題は解消され、球切れの心配もなくなった。

さらに、カートリッジの慣性質量も大幅に削減され、磁気型カートリッジに必然的に付きまとう**高域の強調(ベロシティ方式の副作用)**も理論的に解消された。

このようにして、アキはたった10年でフォノカートリッジの世界に革命をもたらした。この功績により、彼はTAS「Innovator of the Year(今年の革新者)」を受賞した。そして筆者は、「この10年で最も優れた革新者」だとすら思う


[本文(ページ2)より]

Jonathan Valin(以下JV):光学カートリッジを再開発しようと思ったきっかけは?
Tetsuaki Aoyagi(以下TA): 父の会社であるDigital Stream Corporation(DSC)に入社したとき、新しいことに挑戦したいと思いました。父の会社は、LEDとフォトセンサーを用いた光学マウス技術を開発し、他社に技術供与していましたが、私は自社製品にその技術を使いたかったのです。

その頃(2011年か2012年)、友人に誘われて初めてアナログレコードを聴く機会がありました。私は当時かなり若く、実はそれまで一度もレコードを聴いたことがなかったのですが、その音に驚きました。とても素晴らしかったのです。

私は友人に「この音の良さは何から来ているの?」と聞きました。すると「1972年に東芝が作った光学カートリッジを使っている」と言うのです。説明を受けると、それは小型白熱ランプとフォトセンサーを使っていました。

1972年当時には、今私たちが光学マウスに使っていたような冷却不要のLEDやフォトダイオードは存在しませんでした。

友人は、私に東芝の光学カートリッジを1つくれました。彼は東芝の元社員で、いくつか持っていたのです。翌日、私はそのカートリッジを開けてみて、構造がとてもシンプルなことに気付きました。光源・シェーディングプレート付きのカンチレバー・フォトセンサーの3つだけで構成されていたのです。

私はすぐに電子部品屋へ行き、LEDとフォトディテクターを大量に購入し、白熱電球とフォトセルの代わりにそれらを入れてみました。音は出ましたが、出力が非常に小さかった。そこから、多くの異なるLEDとフォトダイオードの組み合わせを試し、数々の試作機を作っていきました。最終的に十分な出力が得られるようになったのは、かなり後でした。

そして、2015年のミュンヘン・ハイエンドショウで最初の完成品を発表しました。


🛠 製品の展開

JV:DS Audioを設立したのはいつですか?
TA: 2015年のミュンヘン・ショウで、最初の製品「W-1」を発表したのがスタートです。

JV:そのときはそれだけ?
TA: はい。その後「Master1」「002」「DS-W2」と続きました。そして「Grand Master」を発表しました。これは左右チャンネルごとに独立したLED、シェーディングプレート、フォトセンサーを搭載した新世代設計です。この新技術は、廉価モデルにも段階的に導入されています。


🎵 DS Audioの音の特徴

JV:DS Audioのカートリッジを聴いてまず感じるのが、ノイズやハムがないことです。
TA: それは、磁石やコイルによる電磁界がないためです。これらのフィールドは、スタイラスの動きに「逆力(バックEMF)」を生じさせ、動きを妨げます。私たちはそれらを排除することで、静寂な背景とスムーズなトラッキング性能を実現しました。